英語でのコミュニケーションのスキルを高めるために必要なことは論理的言語能力

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実は、英語力が問題なのではない

当社が手がけるグローバリーダーシップトレーニングでは、主にリーダーとしてのあり方と、リーダーシップを効果的に発揮するためのコミュニケーションスキルとしての、ファシリテーションを学んでいただくことを中心にしています。
特に多様性の高いチームでリーダーシップを発揮するためには、協働を促すスキルと言えるファシリテーションを学ぶことは、欠かせないことと言えます。

一方、特に日本人を中心としたグローバリーダーシップトレーニングの際には、「英語を使った効果的なコミュニケーションのスキルを高めたい」というニーズが多くなります。
・まだまだ英語のボキャブラリーが足りない
・英語で話はできるが冗長になる
・英語で相手に響くストーリーテリングができない

と言った課題をよく聞きます。これらの課題を解決するために必要なスキルとは何でしょうか?
一つは英語力でしょう。十分な語学力がなくても自信を持って話すマインドも大切ですが、やはりそれなりの英語力は必要になってきます。
そのような英語力はビジネス英会話トレーニングのような研修では習得できません。個人の日々の地道な努力が必要です。

一方で、「英語でのコミュニケーションのパフォーマンスが悪い」という人に共通する特徴があります。
それは、そもそも日本語のコミュニケーションもヘタであるということです。
・話が長いだけで何が言いたいのかわからない
・話の順序がわからない
・聴き手と前提を共有しないまま話す
など、日本語はたしかに流暢ですが、全然伝わらないコミュニケーションになっているのです。

このような方は、英語なのか日本語なのかに関わらず、論理的思考力。論理的言語能力というものを鍛えないといけません。これはけっこう大変で、研修などで簡単に解決するものではありません。
それでは、どのようにすれば、論理的思考力。論理的言語能力を鍛えられるのか?そのヒントは、論理的思考力。論理的言語能力が低いと感じる人に共通する特徴にあります。

私は、説明力・プレゼンテーション力研修をおよそ300回以上実施し、1000人を超える受講者と接してきましたが、話の伝わらない人に共通する3つの点があることがわかってきました。それは、
・人の話をちゃんと聞かない
・文字に書いた文章がちゃんとした日本語になっていない
・きちんと伝えようとすればするほど細かい情報量が多くなる
この3つの点を改善することで、英語のコミュニケーションでも通じる論理的思考力。論理的言語能力を向上することができると考えます。

人の話を咀嚼するために質問をする

話の伝わらない人は、まず、人の話をちゃんと聞いていません。私の説明力の研修で、なんらかの演習をやっていただく際に、手順や決まりを最初に説明するのですが、話の伝わらない人は、たいていその説明を聞いていません。
人の話をちゃんと聞くというのは、自分のアタマの中できちんと理解するプロセスです。それを端折ってすぐアウトプットしようとすることで、論理的な思考のプロセスが欠けてしまうのです。人の話を聞いている間に「次何話そうか?」と考えていて、相手の話がアタマに入ってきていない状態です。

そのプロセスをきちんと確保するためにはどうすべきか?
誰かと会話しているときに、相手の話を聞いたあとに、なんらかのコメントをしたりすることはいったん我慢して、聞き続けましょう。具体的には、質問を重ねていくことです。「次何話そうか?」という思考回路をいったん遮断するわけです。
たとえば、
「私、××で困っているんですよ」と相手が話したら、
「こうするといいよ」と自分の意見を言うのではなく、
「もう少し具体的に教えてもらえますか?」
「それはどういう意味で言っていますか?」
「その時どう思ったのですか?」
など、最低でも3つの質問をしてから、自分の意見なりを言うようにしましょう。
英語なら、
“Tell me more about it.”
“What do you mean by XXXX?”
“How do you feel about it?”
といった具合です。

この時に、何か質問をして返ってきた答えに合わせて、さらに深堀りする質問を心がけるといいでしょう。
質問をすることで、ちゃんと相手の話に向き合い、相手の話を理解する時間が生まれるのですが、同時に、相手の話を理解していないとできない質問をすることで、より相手の話の理解が深まるのです。

話すことを一度文字に書いてみる

説明力の研修で、実際に何か話していただく演習をする際に、話す内容をいったん付箋紙などに書いてもらうのですが、話の伝わらない人は、この内容が、ちゃんとした日本語の日本語になっていなくて、とても読めたものではないのです。たとえば、
「ジョンは、別居している妻に逢うために、休暇を取ってNYからロスへと出かけた」
といった簡単な文章が、
「ロスでジョンの妻に会うが、休暇でジョンは別居している」と、こんな感じです。
不思議なもので、PCやスマホにタイプするときは比較的きちんとした文章が書けても、紙に書くと、グダグダになってしまうのです。
タイプするときと、紙に書くときで脳の働き方にどのような違いがあるのか定かではありませんが、きっと思考のプロセスは違っているのでしょう。
紙にきちんとした文章が書ける人は、話すのも上手です。私たちは、話す際に、話す内容をアタマの中で文章にしてから話すので、これが丁寧にできているということなのでしょう。

まずは、英語で何か話そうとすることを紙に書いてみる練習を心がけましょう。ちょっとしたショートスピーチでもかまいません。PCやスマホでタイプするのではなく。紙に書くのです。そうすることで、論理的な構成力が養われるはずです。

大きなカテゴリーから徐々に小さなカテゴリーで話すことで、短い言葉で伝える工夫をする

もう一つ、話の伝わらない人の特長は、話が長いというよりも情報量が多いことです。しかも、核の部分ではなく、枝葉の部分が中心になります。
たとえば、カレーライスを説明するのに、
「ご飯の上に黄色くどろっとした辛いソースをかけたもの」と説明しないで、
「基本的に有機物で、でんぷん質が多く、食滅繊維とタンパク質をペースト状にしたものが主要成分を占める」みたいな説明になります。
それでもわからなければ、「結晶の形は~で」、「PHは~で」とさらに情報が細かくなります。

物事をコンパクトに説明するためには、カテゴリー化が必要で、細かく説明する際であっても、大きなカテゴリーから小さなカテゴリーに徐々にブレイクダウンしていき、具体化していくのが鉄則です。
カレーライスであれば
・ご飯もの
・スープをかけるご飯もの
・辛いスープをかけるご飯もの
・スープの辛さや具によって味わいが変わるご飯もの
といった具合です。

英語に置き換えても同じで、Facilitationを英語で説明してください、と言われれば、まずは
A kind of communication skills
から入り、
Communication skills to lead the discussion
To lead the discussion by neutral intervention
などと徐々にブレイクダウンしていく構成で説明を考えるのです。

英語でのコンパクトな表現方法を学ぶには、他にもさまざまな方法があります。たとえば、
とりあえず自分の意見を、”I have a specific idea.” のような5 wordsで説明するという、5 wordsを決まり文句にする。

あるいは作詞するというものもあります。
私はよく、英語で曲の歌詞を作る練習をしていました。
テーマを決め、何かのメロディに英語で歌詞をつけていくのです。作詞は音符におさまらないといけないという制約があるので、コンパクトな表現を鍛えるのには最適です。
また、リズムに合わせて韻を含むといった表現力も身に付きます。

あなたも、もし、英語でのコミュニケーション力に課題を感じているとしたら、論理的思考力。論理的言語能力を鍛えることを考えるといいでしょう。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)

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