もしあなたがグローバルミーティングの企画をまかせられたら? 多国籍グループを英語でファシリテーションするファシリテーターとの上手な出会い方

当社では、さまざまな企業・団体の依頼を受けて多国籍のグループをファシリテーションする機会が多くあります。
依頼の内容はさまざまですが、日本に本社のある企業で、初めて海外のグループ会社からリーダークラスを集めたグローバルミーティングを企画する、という例も時々あります。
そんなとき、どのようにグローバルミーティングを企画すればいいのか?どのようにファシリテーターを選び、どのように依頼すればいいのか?初めてのことばかりで戸惑うケースも多いと思います。

特にこれまでファシリテーターと接点のなかった方からすると、おそらく「英語で+ファシリテーション」といったキーワードで検索するか、最近では、生成AIに「このようなイベントをやるんだけど、多国籍のグループを英語でファシリテーションできる経験豊富そうなファシリテーターをリストアップして」と問いかけたりするでしょう。
その際に実績や評判、生成AIの評価などは重要な選択基準になるかも知れません。

そこで、そのような場に関わるファシリテーターの立場から、企画担当者がグローバルミーティングのファシリテーターを選ぶうえでの、3つの意外と重要なポイントをお話したいと思います。

1. 目的・ゴールについて一緒にディスカッションできるか?

すべてのファシリテーションのセッションに共通するのですが、何のためにその場が設けられるのか?何を目標・ゴールとするのか?が、ファシリテーションを依頼するうえでまず最初に明確にすべきことです。

私はこれまでにたくさんのファシリテーションを手がけてきましたが、ファシリテーションの依頼の背景には、大きく分けて2通りあります。

・なんらかの問題解決の必然性や目的があって話し合いの場を設ける
・イベント開催ありきであとから目的を考える

このトピックでの、海外のグループ会社のリーダークラスを集めて年1回グローバルリーダー・ミーティングを実施しますといった、少しお祭り的な企画の際は、割と後者のことが多いのです。

私が「今回のイベントの目的と、ファシリテーターに依頼したいことは何ですか?」と聞くと、「海外のグループ会社の次世代リーダーを集めてチームビルディングしたいんです」という風に漠然とした答えが返ってくることが多いです。
中には、「海外の社員を集めて英語でのミーティング自体が初めてで、英語で場を仕切れる人が社内に誰もいなくて、とにかくお願いできそうなプロを探すのに精一杯で、目的やゴールについて深く議論できていないんですよね。」といった正直な実情を打ち明けられることもあります。

グローバルミーティングは、世界各国からさまざまな人を招いて一同に会するということ自体に大きな意義がりますし、準備も相当大変ですから、まずはイベントありきで、その後に目的・ゴールを考えていく、というケースが多くなるのも頷けます。
そんなときに「目的・ゴールを明確にしてもらわないとファシリテーションできません」と言うわけにもいきません。ですから、ディスカッションしながら一緒に目的やゴールを考えていくことになります。

グローバルミーティングでのファシリテーター選びにおいて重要なポイントの1つ目は、少々目的やゴールが曖昧でも、一緒にディスカッションしながら考えてくれるか?になります。
私は、日本企業が主催するグローバルミーティングのファシリテーションを数多く手がける中で、顧客との目的やゴールの整合のためのディスカッションにおけるファシリテーションをどれだけ粘り強くできるかが、この領域のファシリテーターに強く求められていると実感するようになりました。

目的やゴールをディスカッションしながら明確にしていくために、たとえば私はこのような問いかけをしています。

・参加者が共通すると思われる考え方や行動は何でしょうか?
・参加者によって違いが大きいと思われる考え方や行動は何でしょうか?
・主催者として参加者に共通して持ってもらいたい考え方や行動は何でしょうか?
・チームビルディングが目的とした場合に、チームビルディングされた状態の具体的なシーンはどのようなものでしょうか?
・参加者がこのイベントの後にどのような行動を取って欲しいでしょうか?
・参加者がこのイベントの後に同僚やステークホルダーにどのような影響を与えて欲しいでしょうか?

あるケースでは、「せっかくだからグローバルに共通する会社の価値観をこの際に浸透させたい」という背景があったのですが、顧客といろいろとディスカッションしていくうちに、グローバルな次世代リーダーは、会社の価値観を体現する行動を起こせるとともに、同僚や部下に対してもそのような行動を動機付けする役割があるという考えに至り、Values Ambassador というコンセプトが生まれました
文字通り会社の価値観を体現する大使として、次世代リーダーの方たちに

・会社の価値観を体現する行動とはどのようなものか?
・自分にとって価値観を体現する行動をする動機付けは何か?
・他者が価値観を体現する行動をする動機付けは何か?
・どうすればリーダーとして他者の動機付けをできるか?
をディスカッションしてもらう設計にしました。

顧客との事前の濃いディスカッションを経て、目的・ゴールが明確になり、それに適したプロセスも見えていくのです。

2.Globishを使えるファシリテーターか?

多国籍グループをファシリテーションする際に必要となるスキルはどのようなものでしょうか?基本的なファシリテーションスキルに加えて、多様な文化を理解する力、さまざまな難しい状況に対処できる力。そして、たいていは英語で進行しますので、もちろん英語力も重要です。

英語力という点で特に気を付けたいのが、英語を母国語としない参加者が多い場での英語力です。
ネイティブスピーカーばかりの場を英語でファシリテーションするのは、英語力的にはそれほど難しくありません。参加者のボキャブラリーの方が勝っているので、こちらの伝えたいことはほぼ100%伝わります。
逆に英語を母国語としない方々でのセッションでは、ネイティブスピーカーには通じる単語やイディオムが通じず、ファシリテーターのインストラクションがわからない、というケースが出てきます。
ですから、そのような場では、Globishなどと言いますが、できるだけ多くの人がわかる最大公約数のボキャブラリーで英語を話すことが必要です。
これは意識して訓練していないとなかなかできないことなので、やはり英語を母国語としない多国籍グループを英語でファシリテーションした経験の数が問われるところになります。

グローバルミーティングの企画者は、参加者の母国語が何で、どの言語でファシリテーションをするのかをもとに、適したファシリテーターを選ぶようにしましょう。

3.イベントの質を高めて進化させ続けることに貢献できるか?

グローバルミーティングは、多国籍や、異なる文化的背景の方々と過ごす時間そのものが刺激的で、普段なかなか得られない高揚感を得られ、大きな成長も伴いますので、言ってみれば場の持つマジックによって、成果の出やすいセッションになり得ます。
企画担当者としても、ロジスティクス面での苦労が大変だっただけに、イベントの最後に参加者の満足そうな表情を見ると、「やれやれ」という達成感に浸りたくなります。

一方、お祭り的なイベントは、最初の1~2回は漠然とした満足感で盛り上がるのですが、3回目以降からマンネリ感や、成果が曖昧という理由で消えていく、というパターンを多く見かけます。
グローバルミーティングを単発のお祭りで終わらせるのではなく、今後継続的に実施していくイベントに発展させていくためには、なんらかの成果を測る指標や回ごとのテーマ、目標を設けておいた方がいいでしょう。
ここにファシリテーターがコミットできるのか?が第3番目のポイントだと思います。

私は、複数年にわたって毎年開催されるグローバルミーティングのファシリテーションをいくつか手がけていますが、顧客から「例年通りでお願いします。」と言われたときに、
「そうは言っても、昨年度で実現できていなかったことで、今年チャレンジしたいことは何かありませんか?」
と問いかけて、必ず今年度のチャレンジのテーマを決めるようにしています。

そのために、たとえば以下のような項目で前年度の評価を顧客と一緒に行います。
・参加者同士の関わりは質の高いものだったのか?
・全員が積極的に参加できたのか?
・個々人の成長は実現できたのか?
・その後のアクションにつながる動きがあったか?

参加者からのフィードバック、主催者からのフィードバック、ファシリテーターからのフィードバックなどをもとにふり返りを行い、今年度少しハードルを上げて実現したいことは何か?を考えます。

たとえばあるプロジェクトでは、
初年度:多国籍の参加者が友好的にディスカッションしてアウトプットを出せる
2年度:もっと緊張感のある難しいディスカッションにあえてチャレンジさせる
3年度:個人の成長の度合いをもっと高める

という風に年々チャレンジのハードルを上げていっています。
そして、そのチャレンジを実践するための仕掛けをファシリテーションのデザインに盛り込むのです。

これは主催者にとっても、ファシリテーターにとっても、ちょっと面倒なことかも知れませんが、表面的に成果が出やすそうなイベントこそ毎回進化させていかないと続かないものなのです。

これらは、私が主に日本企業によるグローバルミーティングに関わる中で感じたことです。皆さんの、良いファシリテーターとの出会いの参考になればと思います。

(文責:株式会社ナレッジサイン 吉岡英幸)

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